不動産のメタバース化⁉NFTゴールドラッシュのデジタル不動産

「多額のお金を投じて仮想空間内に不動産を購入する」

1~2年前だったら頭のおかしいと思われたようなことも現在ではそれが当たり前のように受け入れられる時代が近づいています。

NFTの登場によりデジタルデータが唯一の資産としてみなされるようになった今、不動産業界はメタバースへの参入を余儀なくされているといえるでしょう。

昨年の12月にはニューヨークの投資ファンドのリパブリック・レルム(Republic Realm)が仮想プラットフォームの「サンドボックス(sandbox)」内の土地を430万ドル(約5億円)で購入したことが明らかとなった。

このようなことが今後も頻発するようになるのだとしたらもはや現実世界での土地よりも仮想空間内での土地の方が価値が高いと認識されるようになる日も来るのかもしれません。

 

この記事では現在メタバース不動産がなぜ注目されているのかを焦点にいくつかのトピックを紹介しようと思います。

メタバースによってなぜ不動産業界が注目されているのか?

メタバースによって不動産が注目されるようになった大きな契機はNFTが話題になり始めたころからでしょう。

NFTとは?

NFT(Non-Fungible Token)とは日本語では非代替性トークンとも呼ばれます。

NFTは仮想通貨の一種ではありますが今までの仮想通貨と違ってその通貨に識別性を持たせることが出来ます。

つまりデジタルゲーム内でのアイテムや建物をNFTに紐づけることでそのデジタルデータを「唯一無二の資産」としてみなすことが可能になることが最も大きな特徴でしょう。

このNFTの登場によって今までただのゲーム空間などの仮想空間内でしか価値を持たなかったデジタルデータが現実の資産として扱うことが可能になりました。

もちろん現実世界はただ一つのものであり仮想空間は理論上無限に存在できます。

ですのでその仮想空間自体にも

「どれくらいのアクティブユーザーがいるか」

「今後の拡張性はあるのか」

などの確実性が立証されたものでなければそのNFTの価値も必然的に落ちていくということには注意するべきでしょう。

最近はNFTのニュースも多く耳にすると思います。

例えば昨年3月には米TwitterのCEOのジャック・ド―シー氏のTwitter上で初めてコメントしたツイートをNFTに紐づけオークションに出品したところ291万ドル(約3億円)で落札されました。

他にも比較的無名のアーティストのマイク・ウィンケルマン氏(ネット上での活動名はBeeple)のデジタルアート「Everydays -The First 5000 Days -」という作品が6900万ドル(約75億円)で落札されるなどNFTは現実世界での資産として同等の価値を持つという認識が世界でもスタンダードになりつつあるようです。

その認識がさらに一般的になり浸透すれば不動産業界は新たな開拓地としてメタバースでの土地や建物を扱えるようになるでしょう。

現実世界の土地と違ってメタバース空間内での土地はその拡張性が続く限り無限大です。

不動産業界はこの新たな開拓地の出現によって、現在成長予想のメタバース事業として注目を集めています。

The SandboxとDecentraland

メタバース不動産NFTで現在最も活発に取引が行われているのはThe SandboxDecentralandです。

この2つはイーサリアム上のブロックチェーン技術を基盤に作られたユーザー主体のゲームプラットフォームです。

このゲームの特徴としてユーザーは仮想空間上の土地(LANDという)を購入することで様々なアイテム、アバター、サービスを作成することが出来ます。

更に購入したLANDやアイテムなどをNFTに紐づけてプラットフォーム内のマーケットプレイスで自由に取引することが出来ます。

10年ほど前に流行ったSecondLife(セカンドライフ)を知っている方は理解しやすいのではないでしょうか。

通貨単位については

The Sandboxで取り扱われる仮想通貨をSAND、

Decentralandで取り扱われる仮想通貨はMANA

と呼び区別しています。

 

今年もこの両プラットフォームを活用した不動産NFT取引は活発になることが予測されますので市場価値の推移には目が離せません。

これらの情報は日本のニュースでは基本的に報じられることは少ないので、海外の投資記事やNFT不動産企業の動向を随時チェックする必要があります。

現実の不動産の仕事にメタバースが利用される?

バーチャルタウンを展開する株式会社テンアップはメタバース空間内で実際に仕事をすることが可能かの実証実験を行いその成果を発表しています。

実証実験プロジェクトは「メタバースお仕事100個挑戦プロジェクト」と名付けられ不動産の営業にメタバースを取り入れ営業フローとその成果にどんな効果が表れるかを分析しました。

 

メタバースを利用した営業フローとしては

①メタバース空間内にお客様を招待し物件の図面を確認

②360度モデルの写真を用いて実際の物件を確認

③物件内をさらに細かく確認

④外の街並み等も3Dモデルを用いて確認

⑤物件の検討

⑥リピート営業

上記の営業フローを通し興味を持ったお客様が実際に来店し物件の内見を行うという営業フローです。

このメタバース営業のフローを通して営業を行った結果、商談の件数が格段に増え成約率と営業効率も大きく向上したことをデータで公開しています。

またお客様の声も「楽しかった」という声が非常に多く満足度も向上していることが分かった。

担当した営業も今までもオンライン商談やVRを利用した営業は多く行ってきたとのことだが、メタバース営業はお客様にその物件のリアルさを体感してもらうことよりもコミュニケーションをより楽しんでもらうことができたと語っています。

株式会社テンアップは非上場企業ではありますが大手不動産企業がこのようメタバース営業の手法を取り入れることに成功すれば、従来の不動産の営業手法ではあまり効果が見込めなくなるかもしれません。

これはあくまで一例ではありますがメタバースが不動産の領域に大きな変革をもたらす可能性があるのはわかっていただけたと思います。

安易な投資は危険?メタバース不動産の流動性

前述でも少し触れましたがメタバースは理論上では無制限に増殖することが可能です。

企業やエンジニアが新たなメタバースを創造し普及すればするほど既存のメタバース不動産も価値が薄れていく危険性が常にあることはメタバース不動産に投資を考えているのなら念頭に置いておくべきでしょう。

仮に現実の不動産とメタバース空間内での不動産が全く同じものとしてみなせる時代が来るとすれば、現実の不動産のように値動きが予測しづらくなります。

例えば現在新型コロナの流行とそれに伴う低金利政策の影響により首都圏の住宅価値が上がっている傾向なのはご存じの方も多いでしょう。

他にも経済圏以外の不動産や過疎化などによりその不動産が全く価値の見いだせないものとなり売却も貸し出しにも出せないいわゆる「負動産」になってしまうことが現実の不動産にはよくあります。

メタバース不動産にも同じことが起こる可能性は十分にあり前述した「The Sandbox」「Decentraland」は確かに現在数多くのユーザー数(普及率)を誇りデジタル不動産価値は高騰しています。

これは現実の不動産において考えると現在の首都圏の住宅価値の高騰と似たようなものと捉えることもできます。

今後The SandboxやDecentralandが「時代遅れのメタバース」と認識されるような時が来れば首都圏外の負動産のようにSANDやMANAも負動産となりうる可能性は十分に孕んでいます。

その流れに気付かずにSANDやMANAなどの不動産NFTに多額の投資を行っていたのなら大きな損失を被ることになるでしょう。

(マルチメタバースという考え方も出てきていますが、当面はメタバース間の行き来には課題が残ります)

現在アメリカの大手IT企業を中心としてメタバースの開発競争は苛烈を極めている最中です。

メタバース不動産に投資を考えている投資家の方々はその流動性を見極めどのメタバースが今後普及するかを注意深く判断しましょう。

メタバースは日本企業の商機?

メタバースはアメリカのIT企業を中心に開発が進められていますが日本企業もメタバース領域において期待されています。

今まで日本企業がビジネスを展開するにあたって大きな障壁として立ちはだかってきたのが「商圏の狭さ」でした。

島国で孤立していることもあり言語は1つに統一されており日本語の使用率は1位2位の中国語と英語と

比較すると10分の1程度でありほぼ日本人しか使用していない言語です。

中国は強みであるその巨大さから世界を商圏として見なくても自国の商圏のみでビジネスを展開するだけでも多くの資本を獲得することが出来ます。

アメリカは英語圏の世界中の国を同時に商圏とみなすことが出来る優位性を持っています。

日本はその商圏の狭さゆえに世界にビジネス展開しづらくどうしても国内の市場顧客を飽きさせない工夫に重点を置かざるを得ません。

その結果として短いスパンで新製品を開発し続け現状の顧客を維持し続けることになります。

短いスパンで新製品を開発するということはその分開発コストも人件費もかさみますが、

だからといってそれを少しでも怠ると他社に顧客を奪われることになります。

それゆえに短いスパンで新製品を開発し続けざるをえない負のスパイラルに陥ってしまいます。

そういった強みを持たない日本企業が今まで世界の経済に追随していたのは驚くべきことでもありますが、

どうしても日本は世界にビジネスを展開しづらいというデメリットを抱えていました。

この障壁を打破する可能性を持っているのがメタバースです。

メタバースのプラットフォームには基本機能として翻訳機能が搭載されていることがほとんどであり翻訳機能の進化にも期待はもてるでしょう。

メタバースを活用することで日本企業は従来の障壁であった「文化の壁」「地域の壁」を飛び越えることが出来るようになったのです。

そして日本がメタバースと相性がいいといわれる理由の一つに日本の持つ「アニメ文化」という強みがあります。

日本のアニメ文化は根強い人気を誇り2020年度の市場規模は約2兆5000億円とも言われています。

またポケットモンスターを始めとしたコンテンツやIPにおいては世界でも他の追随を許さないことでしょう。

中国系企業のゲームではありますが現在世界で最も人気のあるソーシャルゲームの「原神」も日本のアニメ文化や声優を多く起用することで今日の地位を確立しました。

こういったコンテンツやIPの豊富さを活かし今まで不利とされていた世界展開に積極的に挑戦する企業が増えていけば日本経済にも再度復活の兆しが見えてくるかもしれません。

日本は仮想通貨やブロックチェーンの展開は世界的に遅れているといわれていますがメタバースの分野では世界でも確固たる地位を築いていくことに期待しています。

【まとめ】

「新たな世界を構築しその世界で実際に生活することがスタンダードになる」

こんなことを2010年代に生きていた私たちに言ったとしても誰からも信用されないかもしれませんが、

新たな世界を構築するというまるで神様にしかできなかったことが可能になるかもしれない時代が近づいてきています。

「メタバースに不動産を買う」ことも常識となる日は近いのかもしれませんが、

本章でも説明したようにメタバース不動産の領域は確かに発展していくことが予測されますが、

その投資額の大きさから非常に速いスピードで発展していくことが予想されます。

そのため流行り廃りも早い展開で進んでいくことになるでしょう。

メタバース不動産においてはこのことを十分に念頭に置いてその動向を注視していきましょう。

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