これからの投資には必須知識!?日本のAIとRPA市場の現状について解説

最近のビジネスニュースで耳にしない日はない「AI」という単語。

国内外問わず今多くの国々で研究が進められているのがAI関連技術です。

 

これだけ多く耳にするのなら日本のAI技術はさぞかし進んでいると思っている人も多いのではないでしょうか。

確かに最近の日本企業でも多くの企業がIoT投資の中でもAI事業に多額の投資をしています。

例えば2022年1月にはソフトバンクグループが韓国の人工知能(AI)ベンチャー企業に約1億4600万ドル(約170億円)の投資を行うことを発表し、話題を集めました。

 

またAIに関連して「RPA」という言葉も近年で多く耳にするようになりました。

AIRPA自体は関連があるとはいえその本質は全くの別物なのですが、こと日本においてはAIRPAを同じような認識でとらえている人も多くいます。

 

そこでこの記事では日本における「AIRPAの導入率とその現状」を中心に、今後の考察も踏まえて解説していきたいと思います

 

果たして日本は「AI先進国」になっているといえるのでしょうか。

 

そもそもAI・機械学習・RPAとは?

AIや機械学習・RPAについて感覚的にはわかっていても説明するよう求められると案外説明に苦しむ人も多いと思います。

本筋に入る前に一度各用語の意味について正確に把握しておきましょう。

AIとは?

AIとはArtificial Intelligenceの略称で一般的に人間の知能をコンピュータによって再現する技術のことをAIと呼びます。

実はAIの正確な定義は決まっていないのですが一般的又はビジネスシーンで使う意味合いとしては

「人間のような知能を持ったコンピューター」

「プログラムとは違い自ら判断することが出来るコンピューター」

と理解して差し支えないでしょう。

 

機械学習とは?

機械学習とはML(Machine Learning)」とも呼ばれるAIを支える技術の1つです。

機械学習はAIを支える技術でAIをより「知能を持つ機械」に近づけてくれる技術だといえるでしょう。

関連用語としては「ディープラーニング」があり機械学習と混同している人が散見されますが、

ディープラーニングとはあくまでも機械学習の手法の一つで近年のAI開発で主流の手法として用いられています。

(※機械学習の内容を全て説明すると長くなってしまうので今回は省略します)

 

RPAとは?

RPAとはRobotic Process Automation(ロボティックプロセスオートメーション)の略称で、

一般的には「業務プロセスの自動化」を指します。

ロボティックという言葉がついているからと言って工場などで作業しているロボットとは全く関係が無くて、

基本的にはコンピューター内部で動作するソフトウェアのロボットのことを指します。

RPAもよくAIと意味を混同している人を散見しますが

RPAはあくまでも「あらかじめ設定された指示の通りに動く」のに対し、

AI「大量のデータをもとに人間と同じようにAI自身が判断する」ことが可能です。

意味合いはかなり違うので混同しないように気を付けてください。

 

日本のAIRPAの導入の現状

投資などに興味のある方はご存じかもしれませんが、日本のAIRPAの導入に関しては海外の先進諸国と比較して大幅に遅れているという現状となっています。

ここでは日本のAIRPAの導入についての現状とその課題について言及していきます。

AI導入の現状

総務省が公表している「令和元年版情報通信白書」によると、日本のAI導入率はわずか「39%」です。

これに対し、海外の導入率は中国85%、アメリカ51%、ドイツ49%、フランス49%、スイス46%、オーストリア42%となっています。

1位の中国にはダブルスコア以上の大差で導入されていないことが露呈しています。

更にIoT、ロボット、クラウド、ビッグデータといったAI以外の先進技術と比較しても、AI導入率はかなり低い水準になっています。特に中堅・中小企業の導入率は5.6%となっており、導入におけるハードルが高いことを示しています。

  ”出典:令和元年版情報通信白書(総務省)”

ではなぜ少子高齢化による産業人口の減少や新型コロナウィルスによる影響でデジタルトランスフォーメーションが急務とされている現在の日本でこれほどまでにAIの導入が遅れているのでしょうか。

 

原因は一つとは言えませんが最も大きな要因は日本のITリテラシーの低さが根本的な原因かと思われます。

 

人材サービスを展開するアデコ株式会社は2021年4月に「AI導入に関する意識調査」を上場企業に勤務する40~50代の管理職をターゲットに行いました。

  "出典:人事ポータルサイトHrpro内記事"

上記画像にて調査結果が示されていますが「特に課題はない」と答えたのが全体の22.4%で残りの8割弱はAIの導入に対してどのようにアプローチしたらいいのかわからない、またはAIに対して理解が出来る人材が不足しているとのことでした。

大手企業でこのような現状では中小企業ではさらに深刻なITリテラシー不足が露呈することになるでしょう。

 

他にも様々な日本のAI導入に関する調査報告がありますが、そのほとんどがITリテラシー不足を感じざるを得ない結果となっています。

 

なぜここまで日本企業または日本のビジネスマンはITリテラシーが低いのでしょうか。

 

それは日本の働き方や考え方・人事制度が大きく寄与していると思われます。

 

現在も企業の組織の一員として働いている方なら少なからず感じていることでしょうが、

時代はすでに令和になっているのにも関わらず日本企業は「年功序列」「キャリア優先」「リスク回避」「終身雇用」などを重視する傾向がいまだに払拭できていません。

その証拠として人材事業大手マイナビが2021年に20~69歳までの男女2000人に対し「日本型雇用」についての意識調査を実施した調査報告によると以下のような結果になっています。

 

   "出典:マイナビCAREER RESERCH LAB記事"

上記の調査報告を見てもらえればわかるように終身雇用に対しては圧倒的に賛成している人が多い結果となり、年功序列に対しても賛成が大多数となっています。

どちらの調査においても特に50~60代の支持率は圧倒的になっていて世代が若くなっていくにつれて徐々にその傾向が弱まっていくのがわかるかと思います。

若い世代ではゆっくりではありますが日本型雇用に不信感を抱き始めている人も増え始めているようです。

しかしこの意識がIoTの導入に対して悪い結果を与えている要因の一つだと個人的には感じています。

 

例えばAIの導入率がTOPの中国では2017年に中国政府が「次世代AI発展計画」と称して2025年までに中国がAI先進国となるべく項目を定めました。

その中で最終的に中国のAI市場規模を約150兆円の規模まで高める投資計画を発表しています。

更に中国では起業に対して政府が全面的に支援しているのでITAI技術を駆使した起業家が新たなサービスを創出する流れが出来上がっています。

またテンセントやアリババのような超大手IT企業でもこういったトライをした人材に対して優先的にヘッドハンティングを行ったり先進諸国からAI関連エンジニアを多額の給料を餌に人材確保をしています。

その流れの中で日本のような年功序列やキャリアを優先する志向は払拭されており現場単位で「実力主義」が進んでいるようです。

つまり「常に現場にIoTに関する最新のノウハウを持った人材がいる」状態が継続されているといえるでしょう。

 

もちろん日本型雇用自体の考え方は素晴らしいものですし大多数の日本人がそれに賛成するのも理解できますが、ことIoTに関しては常に「最新」が更新され続けていく世界です。

もはや日本型雇用を重視している企業ではIoTのこの流れの速さについていくことはできないのではないでしょうか。

実力主義が必ずしもこの問題に関する解決策とは言い難いですが、現状を変えるには中国のような成功例をなぞる必要に迫られているのかと思います。

(もちろん中国の施策全てが成功というわけではありません)

日本は人事制度と現場の意識改革でこの問題を解決しようとしていますが、内部からの改革では現状は変わらないのかもしれません。

この風向きを変えるためには生まれたときからITに慣れ親しんで育ってきた日本の若き世代の新たな発想と能力を育む環境の整備が急務だと個人的には感じています。

 

「いずれITに詳しい人材が生まれてくるだろう」

 

このような楽観的な「待ち」の姿勢で現状に取り組んでいる限り日本のデジタルトランスフォーメーションは遅れていく一方なのかもしれません。

 

RPA導入の現状

AIと比較して国内のRPAの導入はどのようになっているのでしょうか。

ICT市場調査コンサルティングのMM総研は、国内企業2000社(年商50億円以上:958社、同50億円未満:1,042社)を対象にWebアンケート調査を実施し、

2021年1月時点のRPA(Robotic Process Automation)の利用状況をまとめ、国内で利用されている主なRPAツール18製品を対象に導入率推移、各種満足度、今後の利用意向などを分析しその結果を発表しました。

 

調査によると

■ 年商50億円以上の大手・中堅企業ではRPA導入率は37%、2022年度には50%へ

■ 年商50億円未満の中小企業ではRPA導入率10%と、大手・中堅企業と大きな格差

■ RPA導入企業のAI-OCR導入率は16%に

"出典:MM総研RPA国内利用動向調査 2021"

 

このような調査結果となり年商50億円以上の大手・中堅企業ではすでに比較検討・テスト段階は終了し実装フェーズに近づきつつある企業が昨年度より大幅に増加傾向にあり、

今後のRPAの現場単位での実用化に期待の持てる調査結果となりました。

 

一方で年商50億円未満の中小企業では導入率が10%と大手企業と比較して導入に対応しきれていないという側面も浮き彫りとなりました。

 

またMM総研が本調査と同時並行で実施したRPA投資についてのアンケートによると、

RPA導入に対する投資を増やす」と回答した企業は全体の4割と前年度と比較しても高い水準になったことも報告しています。

導入の検討が増えた要因としてはクラウド型RPAツールやオープンソースのRPAツールの提供が増加したことにより以前よりも安価な導入検討が可能になったことも要因の一つと考えられています。

 

その他にも国産のRPAツールの台頭もRPA導入に対して良い影響を与えています。

2020年度での国内のRPAツールのシェアは以下のような結果となっています。

  "出典:MM総研RPA国内利用動向調査 2020」"

 

シェア率1位のUiPathは米国企業の製品となりますがBizrobo!WinActorのような純国産のRPAツールの台頭が目覚ましいです。

NECFUJITSURPA開発に対して多額の投資を行うことを2019年に発表しておりその成果が着実に芽吹きつつある段階に達してきているといえるでしょう。

(筆者自身もUiPathとWinActorは実際に使用したことがありますが、初心者でも感覚的な操作が可能な分UiPathがダントツで使いやすかったです。UiPathの牙城を崩すにはまだ時間が必要かと感じました)

更に面白い調査として以下に示す調査結果があります。

下のグラフは同調査でRPA導入企業のAI導入の導入段階を調査した結果になります。

  "出典:MM総研RPA国内利用動向調査 2020」"

 

この調査結果から読み取れるのは日本企業のほとんどは

 

RPA導入を行った後にAI導入の検討をする」

 

ということです。

 

いかにもリスクを忌避する日本企業ならではの調査結果といえるでしょう。

おそらく日本企業経営者のAI関連技術のIoT導入の考え方としては

 

AIの前身であるRPAをまずは導入し、それが本当に成功したのなら本格的にAIを導入していこう」

 

という考えが根本にあるのが透けて見えます。

 

リスクヘッジは経営にとって重要な判断材料の一つではありますが、この考えが根本から変わらない限りは日本企業の急速なデジタルトランスフォーメーションは期待が持てるとはお世辞にも言えないでしょう。

もはやAIRPAによるデジタルトランスフォーメーションが急務であることは明白な事実です。

今後はいち早くこの流れに対応した企業が大手・中小企業を問わず一時代を築いていくのかもしれません。

 

AIは日本にとって金鉱脈?

日本のAI導入の現状はかなり厳しい状態に置かれていることを本章では述べさせていただきましたが「ピンチこそチャンス」という考え方もあります。

 

日本はG7(先進7か国)の中で50年間連続で「生産性」おいては最下位という不名誉を払拭できずにいます。

産業における国際比較の指標の1つ「GVA」(総付加価値)は2035年までに英米豪やヨーロッパ各国はそれぞれ1.02.6ポイントでの成長が予測されている一方、日本は0.8ポイントという低成長が見込まれています。

しかしITコンサルティング企業のアクセンチュアの日本支社が発表した調査報告によると、

AIをうまく活用することが出来ればその潜在成長性は2.7ポイントと先進7か国の中でもトップレベルの水準にまで上げることが出来ると予測しています。

  "出典:アクセンチュア及びフロンティアエコノミクス"

2011年に日本のGDPは中国に抜かれて現在GDPは世界3位となって以降厳しい経済状況が続いていますが、

それでも元々の経済規模で考えるのならばまだまだ挽回は可能なのかもしれません。

AIはいまや企業に必須のツールですが同時にAIを活用できるデジタル人材の育成」も進めなければならないと多くの経営者が認識しています。

先にお伝えした日本企業が抱える文化的な問題を乗り越えていき日本のIoT導入のリーディングカンパニーとなる企業が続々と出てくることを期待したいところです。

 

まとめ

AIRPAは今日本でも多くの企業が取っている「在宅ワーク」にも大きく関連しているIoTです。

女性の社会進出も課題となっている中、在宅ワークは新たな働き方として注目を集めていましたが、

日本企業が本格的に着手し始めたのは新型コロナウィルスの蔓延に歯止めが利かないと発覚してからです。

日本人の働くことへの根本的な考え方が変わらない限りIoTの技術進歩の速さに対して日本の大手企業がそれに対応するのは中々に困難だと個人的には感じています。

今後はそういったスピーディで既存の枠に縛られないベンチャー精神を強く持った若い起業家にも注目していきたいところです。

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